テイク4。ようやくシーンが本当に開き始めた、最初の一回だ。1テイク目は空間に馴染むだけで終わり、2、3テイク目はセリフを正しい順番で言うことに必死だった。4テイク目になって、目の奥でようやく何かが動き出す。もう一回いこう、そう息を吸い込んだ瞬間、スマホを構えている相手が先に言う。「今の良かったよ。もう十分。それ送ろう」
それを送るのは、一番良いテイクだったからじゃない。台所でもう40分、腕を伸ばしてスマホを構え続けてくれている相手がいるからだ。その人がこの一晩のために差し出してくれた時間を思うと、無下にはできない。
技術的には何も問題ない。画角もセリフもきちんと入っていた。それでもこのテープは、本来あるべき出来より静かに劣っている。原因は、人間関係にある。
なぜ役者は「もう一回」と言えなくなるのか
役者同士でこの感覚について話すと、演技指南の本には絶対に載らないような精度で、驚くほど的確な言葉が出てくる。今年立ったあるフォーラムのスレッドに、selftapeで見落とされがちな相手役の存在について、こんな投稿があった。
「相手役はたいてい好意でやってくれてるから、あまり長引かせちゃいけないっていう無言のプレッシャーがある。何テイクか撮ると、相手役はこう言い出す。『いや、今の良かったよ、もう十分。それ送ろう』って。それが本当に一番良いテイクだからじゃなくて、こっちに気まずい思いをさせたくないからなんだよね。(中略)だんだん粘れなくなる。一番強いテイクの代わりに、『まあ十分』なテイクを送ることになる」
同じスレッドの別の役者は、それが始まるタイミングに具体的な数字を挙げていた。
「3、4テイク過ぎたあたりから、迷惑かけてる気がしてくる」
3か4。たいていの人がレンズの前で照れなくなるポイントより、だいたい1テイクだけ先で、シーンが本当に呼吸し始めるポイントより、何テイクも手前だ。
このプレッシャーは、相手役が役者に対して与えているものではありません。ほとんどは自分自身に対してかけているもので、しかも相手のことをどれだけ好きかに比例して強くなる。お金を払って頼んだ他人になら、もう一回とお願いできる。夕食を作ってくれて、朝も仕事があるパートナーには、それができない。つまり相手役との関係が近ければ近いほど、その相手をうまく使いこなせなくなる。人間関係の上に成り立っている仕事にしては、なんとも皮肉な仕組みだ。
それに、実際にこの作業が行われる時間帯の問題もある。
「オーディションのたびに誰かに頼るのが嫌なんだよね……。夜中の2時なのに、朝8時締切のselftapeを送らなきゃいけないことだってある」
sidesが届くのは午後、締切は翌日の正午。頼みたい相手はもう寝ていて、その時間まで起きている人には、今月すでに2回も付き合ってもらっている。
業界はすでに、これを明文化している
イギリスの俳優組合Equity UKは、selftapeに関する行動規範の中でこう明言しています。「相手役がいることは良いselftapeの助けになることが多いが、絶対条件であってはならない」。そしてこれは、役者たちがコメント欄で何度も繰り返してきた疑問にも答えを出しています。「役者は、自分のselftapeのために相手役へお金を払うことを求められるべきではない」。
この2つ目の一文がわざわざ明文化されているのは、相手役にお金を払うことが当たり前になりかけていたからだ。そしてそれが何を意味するのか、役者たちは気づいていた。ある役者はこう言っている。
「医者の面接を受けに行くのに、自分で患者を連れて行かなきゃいけないようなものだよ」
Equityのselftape作業部会に参加していたJassa Ahluwaliaは、Spotlightへの寄稿で、この問題が家庭にもたらすコストについてこう書いています。
「私たちはキャスティングアシスタントの役割を、友人や家族、パートナーに頼ることがますます増えています。それが人間関係に大きな負担をかけることがあるのです。円卓会議の中では、それが原因で結婚生活が破綻したケースも耳にしました」
結婚生活が一つ、壊れた。原因は、キャスティング事務所からいつの間にか役者のリビングへと静かに移されていた、無償のキャスティングアシスタント業務だ。
その罪悪感は、本当は何を奪っているのか
その代償は数字で表せる。しかも簡単に確認できる。何テイク撮ってから、一本を送ったか。
ほとんどのテープは同じカーブをたどる。最初の数テイクは事務作業のようなものだ。セリフが入っているか、目線は合っているか、頭が画面から切れていないか、それを確認しているだけ。そこを過ぎたあたりから、シーンは暗記テストであることをやめて、本当のシーンになっていく。テイク数を3、4テイクで打ち切ってしまえば、送るのは自分の仕事の事務作業版だ。ちゃんとできている、間違ってはいない、でも一度観たら終わりの出来。
だからこそ、相手役が与えてくれる2つのものを天秤にかけたある役者のこの言葉は、一見おかしなトレードオフに見えて、実はそうではない。
「(自分にとっては)対面の相手役からもらえるノートより、テイク数が無制限であることのほうが大事」
優れた生身の相手役は、それでもなお、自分だけで作り出せるどんなものよりも良い。予想もしていなかったことを投げかけてくる、機嫌の悪さをぶつけてきて、それに芝居で応えなければならなくなる。どんな録音・録画も、それだけは絶対にできない。毎テイク同じように読んでくれて、本気でもう一回付き合ってくれる相手がいるなら、あなたは大半の現役役者より恵まれている。そして自分が誰かのselftapeリーダーになることは、学ぶ価値のある本物の技術だ。
問題は相手役ではない。問題は、好意には限りがあるということ、そして真っ先に尽きるのがテイク数だということだ。誰かの1週間の中から最大限に気前よく40分をもらったとしても、それでもテープを失うことがある。そのテープが本当は90分を求めていたからだ。
だから解決策は、頼み方を改善することではなく、頼むこと自体をなくすことになる。blablablaが引き受けているのは、まさにそのごく限られた仕事だ。他の役のセリフをすべて声に出して読み上げ、そのあとは静かに待ちます。テイク1でも、テイク15でも、テイク30でも、あなたのセリフがどれだけかかっても構いません。誰の夜の時間も使われていないから、申し訳なく思う理由もありません。この回避策のようなものにたどり着いたある役者は、演技とはまったく関係のない言葉で、その結果をこう表現しています。
「役者じゃないパートナーとの関係が、これで救われた。前は彼にセリフを読んでって頼むたびに、すごく機嫌が悪くなってたから」
プロダクトレビューとしては、ちょっと変わっている。でも、頼むことの本当のコストを言い表す言葉としては、これ以上なく正確だ。
書き留めておくべき数字
次にテープを撮ったら、消す前に2つメモしておく。何テイク撮ったか、そしてどれを送ったか。これを次の5本で続けて、それから「部屋に誰かいたかどうか」でリストを分けてみる。
誰かがスマホを構えてくれていたテープのほうがテイク数が少ないなら、それが本当の問題だ。どれだけ照明を良くしても、そこには絶対に届かない。一人稽古の残りの部分は一人稽古の完全ガイドに、締切が正午に迫る夜11時についてはこの話の夜11時バージョンにまとめてある。でも、見るべきはやっぱりテイク数だ。
テイク11で撮れていたはずのあの一本は、仮定の話じゃない。それは実在するテイクで、あなたがどう演じればいいかを分かっているシーンの一本だ。ただ、それを頼まなかっただけだ。
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