お子さんにセリフを覚える課題があって、気づけば稽古相手はあなたです。やりたいか聞かれたわけではありません。キッチンを教室に変えず、そしてよくあるように台本を丸ごと自分が覚えてしまうこともなく、それをやる方法をお伝えします。
私はセリフを覚えることで生計を立てています。自分が使っている方法は、9歳の子どもに効く方法とそう変わりません。ただ、もう少し静かにやっているだけです。どちらの場合も要点は同じです。言葉はただのリストであることをやめて、相手が今言ったことに対してキャラクターが返す言葉にならなければいけません。
まず読んで聞かせて、それから一緒に読む
お子さんが一言でもセリフを言おうとする前に、シーン全体を読み聞かせてください。全部、全ての役を、絵本の読み聞かせのように。声色を変えてもかまいません。狙いは、シーンを「自分のセリフのページとその間に挟まるもの」として見る前に、「人と人のあいだで起きていること」として聞かせることです。
次は一緒に読みます。お子さんの役以外は全部あなたが読み、お子さんは自分の役を、台本を手に持ったまま、何も覚えなくていいというプレッシャーなしで読みます。これを数日かけて2、3回。合間に話し合ってもいいですが、シンプルに。なぜこう言うのか。何を望んでいるのか。直前に何があったのか。子どもはこうした問いに大人よりあっさり答えてくれますし、その答えこそがセリフを定着させます。
この段階で読み方を直したくなっても、我慢してください。意味の通らない言い方をしていたら、キャラクターは何を言いたいのかを聞いてみましょう。自分で考えさせるのです。理解しているセリフは、もう半分覚えたようなものです。
しばらく台本を持たせておく
親は台本を早く手放させたがります。進歩しているように見えるからです。でも実際は違います。早く取り上げすぎると、どの通し稽古も暗記テストになってしまい、暗記テストになった瞬間に楽しさは消えます。
持たせておきましょう。最初の数回は好きなだけ見ていいことにします。自然と起きるのは、回を重ねるごとに台本を見る回数が減っていくことです。台本を見るより思い出すほうが早いと分かってくるからで、子どもはそこが効率的です。ときどき単語を確認するだけになったら、台本はこちらで持とうかと声をかけ、詰まったら合いの手を入れます。「昨日は言えてたでしょ」は禁句です。ただ次の言葉を、淡々と伝えて、先へ進ませます。
セリフを読んでから顔を上げて言う、というやり方でも問題ありません。それも立派な覚え方で、多くの役者が使っています。大事なのは、ページに向かって言うのではなく、誰かに向かって言っていることです。
学校やキャスティングから紙の台本が送られてきたら、きれいなコピーをどこかに保管しておいてください。子どもは何にでも落書きをするものです。
相手役を読んであげて、それからアプリに任せる
ここがあなたが相手役になる部分で、たいていの親が音を上げる部分でもあります。悪気があるわけではありません。「ミア、昨夜どこにいたの?」を40回目もそれなりの説得力を持って読むのは、単純にしんどいのです。
それでも、しばらくは続けてください。相手役のセリフは、本当に問いかけているつもりで読みます。自分のセリフのあとは待つ。相手のセリフを口パクで教えない。間が空いた瞬間に割り込まない。間こそが思い出す作業が起きている時間で、そこを埋めてしまう親は、子どもに「待てば誰かが助けてくれる」と教えてしまいます。
自分の役目を果たして、シーンがだいたい頭に入ってきたら、相手役を疲れ知らずの何かに引き継ぎましょう。blablablaはセリフを覚えるためのアプリです。台本をインポートして役を選ぶと、他のキャラクターのセリフを読み上げながら、あなたの番を待ってくれます。シーンのほうが自分を待っていてほしい、その逆ではなく、というときに、舞台や映画のセリフを覚えるのに使える一番のアプリです。
子どもにとっては、「待ってくれる」ことがすべてです。セリフを覚えるページに仕組みは説明していますが、要点だけ言うと、台本をインポートして(PDF、Wordファイル、ページの写真、貼り付けたテキストのいずれか)、お子さんの役を選ぶと、他のパートがそれぞれ違う声で読み上げられます。そのあとはお子さんの合図を待ちます。ため息もつかないし、急かしもしないし、スマホをいじったりもしません。セリフを見つけるのに1分かかるなら、1分待ちます。自分のセリフの見え方を調整するダイアルもあり、最初は全文表示、慣れてきたらヒント、次は頭文字だけ、最後は非表示と、自信に合わせて減らせます。音声を一度スマホに落とせば、wifiなしでも動くので、車の中でも便利です。
最初は操作を教えるためにそばにいて、それから部屋を出ましょう。子どもは、一挙手一投足を親に見られていないほうが、セリフを自由に言えることが多いものです。
短く区切って、そこで終わる
10分を1日に数回のほうが、日曜午後の1時間より効果があります。これは大人にも当てはまりますが、子どもにはなおさらです。眠っている間にも定着は進みますし、セリフを頭に入れたまま学校まで歩くことも同じです。
うまくいっているうちにやめましょう。最初のイライラしたため息が出るまで続けると、子どもがセリフ練習について覚えているのはそのため息になってしまい、次の練習はそこから始まります。うまくいった通しで終わり、「よかったね」と言って、別のことをしに行きましょう。
夕食の席で試したりしないでください。おばあちゃんに披露させるのは、本人から言い出すまで待ちましょう。セリフを覚えることは、子どもであっても個人的な作業です。準備ができる前に観客をつけてしまうと、練習が的外れなプレッシャーのかかる本番に変わってしまいます。
締め切りが迫っているのにセリフが入っていないなら、舞台、映画、オーディションのためのセリフの覚え方で紹介している方法は若い役者にも通用します。シーンを小さく区切ること、合図から自分のセリフへ直接つなげて練習することの2つが、私ならまず試す方法です。
言葉が問題ではないとき
子どもが言葉を全部知っているのに、シーンがどこか変に聞こえることがあります。平坦だったり、早口だったり、妙に大声だったり。これはセリフの問題ではないので、繰り返し練習しても直りません。
たいてい、理由は2つのうちどちらかです。シーンが何についてのものか分かっていないなら、最初のセクションの質問に戻ってください。あるいは、誰にも向けずにセリフを言っている場合。こちらのほうがよくあります。誰に話しているのかを聞いて、その相手を見るように促しましょう。相手があなたでも、セーターを掛けた椅子でもかまいません。誰かに向けた瞬間、セリフは変わります。
もうひとつ注意したいのが、忘れたふりをした恐怖です。寝室では言えるのに、オーディションの部屋で飛んでしまう子は、何も忘れていません。緊張しているだけで、緊張は最初のセリフを食べてしまうものです。対処法は、プレッシャーの低い場所で通す回数を増やすことです。廊下。庭。車の中。うまくいく新しい場所が増えるたびに、オーディションの部屋は少しずつ見慣れたものになっていきます。
そして、言葉そのものが問題であることも、実はあります。学校の台本やコマーシャルのサイドが、いつも子ども向けの文章が書ける人によって書かれているとは限りません。どうしても自然に言えないセリフがあれば、「あなたが下手だから」ではなく「このセリフが難しいんだ」と伝えてください。そのうえで、いちばん人間らしく聞こえる言い方を一緒に見つけて、それで十分とします。
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